甲状腺疾患
甲状腺は首の前面にある蝶ネクタイのような形をした小さな臓器で、甲状腺ホルモンを生成する役割を担っています。甲状腺ホルモンは、体の成長や発達、エネルギー代謝、体温調節など、様々な重要な機能に関与しています。
甲状腺の働きに異常が生じることで起こる病気が甲状腺疾患です。甲状腺疾患は、日本でも比較的多くの人が罹患する病気であり、適切な治療を受けないと、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
甲状腺疾患の症状
甲状腺疾患の症状は、甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎる甲状腺機能亢進症と、少なすぎる甲状腺機能低下症によって大きく異なります。
甲状腺機能亢進症の主な症状は以下の通りです。
- 動悸
- 息切れ
- 手足の震え
- 発汗過多
- 体重減少
- 不眠
- イライラ
- 眼球突出
甲状腺機能低下症の主な症状は以下の通りです。
- 疲労感
- 寒がり
- 乾燥肌
- 便秘
- 体重増加
- 集中力の低下
- うつ状態
これらの症状は、他の病気でも見られることがあるため、甲状腺疾患であるかどうかは、医療機関で検査を受ける必要があります。
甲状腺疾患の原因
甲状腺疾患の原因は、病気の種類によって異なりますが、主な原因は以下の通りです。
- 自己免疫疾患: 甲状腺を攻撃する自己抗体が生成されることで起こる病気。橋本病やバセドウ病などがこれに該当します。
- ヨード不足: ヨードは甲状腺ホルモンの生成に必要不可欠な栄養素です。ヨードが不足すると、甲状腺機能低下症になる可能性があります。
- 加齢: 年齢とともに甲状腺の機能が低下することがあり、甲状腺機能低下症になるリスクが高くなります。
- 遺伝: 甲状腺疾患の家族歴がある場合は、発症リスクが高くなります。
- ウイルス感染: ウイルス感染が甲状腺疾患の発症に関与している可能性があります。
甲状腺疾患の種類
甲状腺疾患には、様々な種類があります。主な種類は以下の通りです。
- バセドウ病: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気。自己免疫疾患の一つです。
- 橋本病: 甲状腺ホルモンが十分に分泌されない病気。自己免疫疾患の一つです。
- 亜急性甲状腺炎: ウイルス感染などが原因で起こる甲状腺の炎症。
- 慢性甲状腺炎: 甲状腺に慢性の炎症が起こる病気。
- 結節性甲状腺腫: 甲状腺にできる良性の腫瘤。
- 甲状腺癌: 甲状腺にできる悪性の腫瘍。
甲状腺疾患の治療法
甲状腺疾患の治療法は、病気の種類や症状の程度によって異なります。主な治療法は以下の通りです。
- 薬物療法: 甲状腺ホルモン剤や抗甲状腺薬などの薬を服用することで、甲状腺ホルモンの分泌量を調整します。
- 放射線治療: ヨード製剤を服用することで、甲状腺組織を破壊します。
- 手術: 甲状腺の一部または全部を切除します。
甲状腺疾患についてのまとめ
甲状腺疾患は、適切な治療を受ければ、症状を改善し、日常生活を送ることが可能です。しかし、放置すると様々な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。
甲状腺疾患の症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。