骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨の密度が低下し、スカスカになってもろくなる病気です。転倒や軽い衝撃でも骨折しやすくなり、特に脊椎(背骨)、大腿骨(太ももの骨)、橈骨(手首の骨)などが骨折しやすいことが特徴です。
厚生労働省によると、日本には約1,000万人以上の骨粗鬆症患者さんがいると推定されており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。女性は閉経後に男性よりも発症リスクが高く、特に閉経後10年以内は急速に骨密度が低下するため、注意が必要です。
骨粗鬆症は、まさに「静かな病」です。自覚症状がないまま進行し、初めて症状に気づいた時にはすでに骨折しているというケースも少なくありません。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症は、初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、進行すると以下のような症状が現れます。
- 慢性的な腰痛
- 背中の痛み
- 身長が縮む
- 猫背になる
- 骨折しやすい
特に、背骨の圧迫骨折は、背中の痛みや身長の縮みの原因となるだけでなく、神経を圧迫して手足の痺れや脱力症状を引き起こすこともあります。
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症は、骨の代謝バランスが崩れることで起こります。骨は常に新しい骨が作られ、古い骨が壊されるという「リモデリング」と呼ばれる新陳代謝を繰り返しています。しかし、骨粗鬆症になると、骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が低下してしまうのです。
骨粗鬆症の原因は、主に以下の2つに分類されます。
1. 骨粗鬆症の発症リスクを高める因子
- 性別:女性は男性よりも発症リスクが高い
- 年齢:年齢とともに発症リスクが高くなる
- 閉経:女性ホルモン(エストロゲン)の減少は骨密度低下を促進する
- 家族歴:家族に骨粗鬆症の人がいる場合は発症リスクが高い
- 体格:痩せている人は発症リスクが高い
- 生活習慣:運動不足、喫煙、過度な飲酒、偏った食事
2. 骨粗鬆症の原因となる疾患・治療
- ステロイド骨粗鬆症:ステロイド薬の長期使用は骨密度低下を促進する
- 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンの過剰分泌は骨密度低下を促進する
- 関節リウマチ:関節リウマチの治療薬であるTNF阻害薬は骨密度低下を促進する
- 糖尿病:糖尿病は骨密度低下を促進する
- 慢性腎臓病:慢性腎臓病は骨密度低下を促進する
骨粗鬆症の種類
骨粗鬆症には、大きく分けて以下の2種類があります。
1. 原発性骨粗鬆症
最も一般的な骨粗鬆症で、加齢や閉経などによる骨密度自然低下が原因です。
2. 続発性骨粗鬆症
上記で紹介したような、骨粗鬆症の原因となる疾患や治療によって起こる骨粗鬆症です。
骨粗鬆症の検査方法
骨粗鬆症の診断には、主に以下の検査が行われます。
- 骨密度測定:専用の機器を用いて、骨密度を測定します。最も一般的で精度が高いものとしてDEXA法と呼ばれる方法が用いられます。
- X線検査:骨の骨折や変形などを確認します。
- 血液検査:骨粗鬆症の原因となる疾患や、骨代謝の状態を調べることができます。
骨粗鬆症の治療法
骨粗鬆症の治療法は、主に以下の2つに分けられます。
1.薬物療法
骨粗鬆症の進行を抑制し、骨折リスクを減らす薬物療法です。ビスホスホネート薬、RANKL阻害薬、カルシトニン製剤などが用いられます。
2.生活習慣の改善
カルシウムやビタミンDを多く含む食品を積極的に摂取すること、適度な運動をすること、転倒予防に努めることなどが重要です。
骨粗鬆症についてのまとめ
骨粗鬆症は、早期発見・早期治療が重要です。定期的に骨密度測定を行い、骨粗鬆症のリスクがある場合は、適切な治療を受けるようにしましょう。
また、骨粗鬆症は、生活習慣の改善によっても予防することができます。日頃からカルシウムやビタミンDを多く含む食品を摂取し、適度な運動を心がけましょう。